ぐりんの観察日記

観察するのはあなたです。

こわいもの

 

お初にお目にかかります、手前は名はぐりんと申します。少しばかり私の身の上話に手前にお付き合いをお願い致します。へへっ

 

旦那方、手前には実は怖いものが何もございません。蛇も蜘蛛も幽霊も何も苦手なものはないのでございます。そして、人が良くて頭が良いから、どんな偉い人間も手玉にとる事ができるのでございます。これは本当で、どんな人間も私にかかれば馬鹿なもんですよ。だから私に怖いものなど一つもないのです。あぁ、本当に幸せだなぁ。こんな幸せな世界で不幸になるやつの気がしれないですよ、ねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他の旦那方は帰ったかい?それじゃあ旦那、あなただけに私の秘密をお教えしますよ。旦那だけがちゃんと私の目を見て聞いてくれたんだから、これは特別ですよ。

 

実はね、私には何より怖いものがあるんです。それは...紙幣なのでございます。あの紙っきれが財布の中にある、という事が何よりも怖いのでございます。あいつが財布の中にあるだけで怖くてたまらない、汗が吹き出してきてとても冷静ではいられない。夜中にうなされて紙をちぎってもまだ怖いのです。

 

...あの紙幣達の顔ときたら、私を見下してやがる。沢山あればあるだけあいつらには敵わない、と言われている気がして悔しい涙を流すのでございます。...旦那、これは他の旦那方には絶対に秘密にしておいてください。私の一生涯の秘密なんですからね。絶対ですよ。